身分証の写真を送っても大丈夫?悪用の手口と、送ってしまったときの対処法
相手を確かめ、その会社の公式Appや公式サイトから送るなら大丈夫ですが、見知らぬ相手にLINEやメールで送るのは危険です。身分証の画像はなりすましの借り入れや口座開設に悪用されることがあるので、送るのは必要なときだけにして、コピーには宛先と日付を入れておきましょう。

身分証の写真を求められる場面は、すっかり増えました。フリマAppの本人確認、賃貸の申し込み、アルバイトの応募、民泊のチェックイン。ほとんどはふつうの手続きですが、なかには詐欺の入口もまぎれています。写真そのものはどちらでも同じです。問題は画像が危険かどうかではなく、それが誰の手に渡るかです。
身分証の写真は何に悪用されるのか
運転免許証やマイナンバーカードの写真には、氏名、住所、生年月日、顔写真がそろっています。実際に起きているのは、たとえば次のようなことです。
- なりすましの借り入れ。 国民生活センターは、アンケートに答えるアルバイトに応じて運転免許証の画像を撮らせた人が、知らないうちに借金をされていた事例を公表しています。
- 口座や携帯電話の契約。 画像だけで本人確認が済むサービスでは、他人名義の口座や回線が作られるおそれがあります。
- 脅しの材料。 警察庁は、闇バイトでは応募のときに渡した個人情報をもとに、抜けようとする人を執拗に脅す手口があると注意を呼びかけています。身分証の画像は、その個人情報の中でもいちばん多くを相手に渡してしまいます。
- 次の詐欺の小道具。 盗まれた身分証の画像は、別の人をだますときに実在の人物を装うために使われます。
写真を一枚送っただけで人生が終わるわけではありません。ただ、身分証のコピーはクレジットカードの番号と同じくらい大切に扱うべきものです。渡すのは本当に必要な相手だけにしましょう。
画像だけの本人確認は、終わりに向かっている
国の制度も、画像を送る本人確認から離れつつあります。総務省によると、オンラインでの携帯電話の契約では、2026年4月1日から身分証のICチップの読み取りが原則として必須になりました。店頭での契約も2027年4月以降に同じ方向へ移り、本人確認書類の写真のアップロードやコピーの郵送は、原則として廃止される予定です。銀行口座などに適用される犯罪収益移転防止法の施行規則も改正され、2027年4月1日からは、オンラインで身分証の画像を送る方法に代わって、ICチップの読み取りやマイナンバーカードによる確認が基本になります。
それでも、移行が終わるまでのあいだや、法律の対象にならないサービスでは、画像だけで本人確認が通る場面が残ります。送らずに済むなら、それがいちばん安全です。
送ってもよい場面
正当な依頼には共通点があります。その会社自身の手続きの中で行われることです。
- 銀行、証券会社、フリマAppなどの公式Appや公式サイトの本人確認画面で撮影する。多くの場合、顔の撮影もセットです。
- 勤務先が、面接のあとの入社手続きとして、人事を通して提出を求める。
- 宿泊施設が公式の予約経路で手続きをする。なお、旅館業法の運用で宿泊施設にパスポートの写しの保存が求められているのは、日本に住所のない外国人宿泊者だけです。
怪しい場面
- LINEやDM、メールで突然求められ、「今すぐ送らないとキャンセル」などと急かされる。
- 面接もないまま「登録のため」と求められる。 高収入をうたう簡単なアルバイトは要注意です。
- 民泊のホストに、App以外で送るよう言われる。 Airbnbのポリシーでは、法令上の理由がありリスティングに明記されている場合を除き、ホストが到着前にゲストに身分証の写真を送るよう求めることは禁止されています。
- フリマの購入者が「本人確認のため」と求める。 売っているのはこちらです。相手に身分証が必要な理由はありません。
安全な送り方
どうしても送る必要があるときは、次の点を押さえるだけでリスクの大部分を減らせます。
- 相手を確かめる。 メッセージに書かれた連絡先ではなく、自分で調べた電話番号や公式サイトで確認します。
- 公式の経路から送る。 LINEやメールではなく、その会社のAppやサイトの本人確認から提出します。メッセージで送った画像は、相手のスマホやバックアップ、受信箱に残り続けます。
- 透かしを入れる。 宛先(「〇〇社 提出用」など)と日付を画像に重ねておけば、盗まれたコピーをほかの目的に使い回すのは難しくなります。
- 必要な面だけを送る。 マイナンバーカードの裏面は送りません。個人情報保護委員会は、身分証明書の写しとしてマイナンバーカードをコピーする場合、個人番号が記載された裏面はコピーできないとしています。
- 身分証を持った自撮りは送らない。 公式の本人確認の手順以外で、身分証と顔の画像をセットで渡すのは、なりすましの材料をそろえて渡すのと同じです。
- 送ったあとの扱いを確認する。 どのくらいの期間保存し、いつ削除するのかを聞いておきましょう。
LINEやメールで送るのは危ない?
経路そのものより、送ったあとが問題です。LINEもメールも途中の通信は保護されていますが、届いた画像は相手のトーク履歴や写真、バックアップに何年も残り、こちらから取り消すことはできません。だからこそ、どのAppで送るかより誰に送るかのほうが大切で、どの経路でも、送るなら透かしを入れたコピーにしておくのが安心です。
送ってしまったときの対処法
あわてずに、できることから順に進めましょう。写真は身分証そのものではありません。
- 警察に相談する。 警察相談専用電話は #9110 です。金銭の被害や脅迫があれば、すぐに最寄りの警察署へ。
- 消費者ホットライン188に相談する。 契約やお金のトラブルにつながったときの窓口です。
- 信用情報機関に本人申告をする。 JICCは、免許証の現物は手元にあっても画像が流出した場合に、本人申告コメントを登録できるとしています。CICや全国銀行個人信用情報センターにも本人申告の制度があり、登録しておくと、金融機関が審査の際に本人確認を慎重に行う手がかりになります。
- マイナンバーが漏れたときは市区町村に相談する。 デジタル庁によると、マイナンバーが漏えいして不正に使われるおそれがあると認められる場合は、番号を変更できます。
Dokusでできること
Dokusは、iPhone、iPad、Mac向けの書類ウォレットです。パスポートや運転免許証、マイナンバーカードをデバイスの中で暗号化し、Face IDで保護して保管します。アカウントもサーバーもなく、書類がDokusに届くことはありません。コピーが本当に必要なときは、原本から2回のタップで共有できます。そのコピーには「(宛先)専用」と日付の透かしを入れられます。原本は変わらず、不動産会社に渡したコピーが、知らないうちに別の誰かのコピーになることもありません。
よくある質問
免許証の写真をLINEで送っても大丈夫?
相手が誰かを確かめてあり、ほかに方法がないなら、宛先と日付の透かしを入れたコピーを送りましょう。LINEで届いた画像は相手のトーク履歴や写真に残り、こちらから消すことはできません。知らない相手からLINEで求められた時点で、詐欺を疑ってください。
身分証の写真を送ってしまったらどうすればいい?
警察相談専用電話の#9110か、消費者ホットライン188に相談し、JICCやCICなどの信用情報機関に本人申告をしておきましょう。JICCは、免許証の現物が手元にあっても画像が流出した場合に登録できるとしています。そのうえで口座や契約に覚えのない動きがないかを確かめ、相手にはそれ以上何も送らないでください。
マイナンバーカードの写真は送ってもいい?
本人確認のために送るなら、氏名や顔写真がある表面だけにしてください。個人番号が記載された裏面は、個人番号を扱う決められた手続き以外では、事業者がコピーすること自体が認められていません。裏面の写真を求めてくる相手には送らないことです。
エアビーのホストにパスポートの写真を送るのは安全?
基本的には送る必要はありません。Airbnbのポリシーでは、法令上の理由がありリスティングに明記されている場合を除き、ホストが到着前にゲストに身分証の写真を送るよう求めることは禁止されています。本人確認はAirbnb自身が行うので、やり取りはApp内にとどめ、メッセージで写真を求めるホストは報告しましょう。
身分証の悪用を防ぐには?
送る相手と経路をしぼることがいちばんの対策です。公式Appや公式サイトからだけ提出し、送るコピーには宛先と日付の透かしを入れ、必要な面だけを渡します。身分証の画像はカメラロールに置きっぱなしにせず、暗号化して保管できるAppにしまっておきましょう。